【共産車探訪 vol.19】ZiS 110①


Здравствуйте,Товарищ!


こんにちは、ちゅうさまです。

いよいよ2017年も終わりですね。今年はりんく通Uを結成したり、同人誌を作ったり、コミケに出展したりと盛りだくさんの一年でした。りんく通Uは来年にもイベント参加を予定していますので、今後ともよろしくお願いします。


さて、今年最後の共産車探訪の特集は、前回ご紹介した ”ZiS 101A” の後継にあたる ”ZiS 110” です。101と110…1文字しか変わっていないのでややこしいですが、中身は全くの別物です。

前回でも触れましたが、ZiS(スターリン記念工場)は、トラックや党幹部用の高級リムジンを製造すべく作られた工場です。モスクワに居を構えたZiSでしたが、1941年に勃発した独ソ戦により工場は焼けてしまいます。

1945年にようやく戦争が終結し、工場の立て直しとともに、新型リムジンの製造も始まりました。それが、今回のテーマである ”ZiS 110” です。

かくして新型リムジンを製造することになったZiSですが、デザインを始めとした設計には、もちろんメインユーザーであるソビエトの政府高官の趣向が反映されることとなります。

特に大戦後の1940年代後半はスターリンの全盛期。よって、スターリンが好んで使用していたアメリカのパッカードをモチーフにしたクルマ作りが進められました。


なぜスターリンがイデオロギー上の宿敵であるはずのアメ車を愛用していたかというと、大戦中の「連合国の連携」を示す象徴として、ルーズベルトからのプレゼントとして送られたものだからです。で、ソ連はそのプレゼントであったパッカードを丸コピして自分だけの車 ”ZiS 110” を作ったというワケですね。


モデルになったのは、1942~1944年頃のパッカード。参考として下に貼った写真は1940年式なので左右のグリルの形状が異なりますが、中央のグリルの形状はそっくりそのまま。この形はパッカードのアイコンでもあるので、ZiS 110を見たパッカード社幹部はさぞ苦い顔をしたことでしょう。

【参考】1940 Packard Custom Super Eight 180

※1942年式以降は左右のグリルも横長のものとなり、ZiS 110と区別がつかないレベルでそっくりになります。


エンジンは新開発の6.0Lの直列8気筒のものが載せられました。直8とか今だと見ない形のエンジンってなんかいいですよね。

140hpを叩き出したこのエンジンは、当時のソ連では最強のものでした。最強のエンジンが実用車ではなく党幹部用リムジンに採用されるあたりがソ連っぽいんだよなあ…。

ソ連にしては珍しく 性能に関しては申し分なく、始動はイグニッションランプを見ないと分からないほどに静かで、走行時も本家パッカードより滑らかに加速できたそうな。

リアビューです。後部のウインカーはなく、昔のアメ車よろしくブレーキランプが点滅してウインカーの役割を果たすタイプです。

1945年の生産開始当初は党幹部専用車だった110ですが、1950年代になると長距離タクシーとしても供給されるようになります。まあ一般の労働者層が乗れる代物ではなかったんですけどね。あくまでもホワイトカラーや政府の下級幹部向けです。

タクシー用も含め、1958年の生産終了までに2,089台が生産されました。


ソ連車のご多分に漏れず、110にも様々なバリエーションが用意されました。そのうちのほとんどは試作段階でポシャったんですが……。

一部

(カッコ内はラテン文字表記です)


・救急車バージョン「110А (A)」

1948年に製造が開始。後部がハッチバックに改造されており、後部座席とトランク部分をブチ抜いてベッドが置かれている。現存個体の有無は定かではないが、屋根の前部に取り付けられた行燈で通常モデルとの区別が可能。


・パレード用フェートン「110Б (B)」

1947年に製造が開始。110Бについては、次回の記事で改めてご紹介します。


・コンバーチブル「110В (V)」

電動の幌が備えられたコンバーチブルバージョン。「110Бでいいじゃん」という結論に至り、3台のプロトタイプしか製造されなかった。そういうところがダメなんだよソ連。


・4WDモデルの試作車「110Ш (SH)」

ダッジの軍用車「WC51」のパワートレインをコピーして移植しようとしたプロトタイプ。当然のことながら失敗した。


・4WDのリベンジ「110П (P)」

110Шを分解して組み直したリベンジモデル。やっぱり失敗してお蔵入りになった。1台現存しており、やたらとゴツい溝の深いタイヤで見分けがつく。


・ATバージョン「110И (I)」

GAZのチャイカ(M13型)のATトランスミッションを移植したモデル。モデル末期にはそこそこの数が製造されたらしい。


・装甲バージョン「115

名前から違う装甲車。次々回の記事でご紹介します。


……といわけで、年明け一発目の記事は、110のフェートン ”110Б” ”115” の特集です。


それでは、皆さん良いお年を!


2017/12/30 ちゅうさま

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