【共産車探訪 vol.16】 ZAZ ザポロージェツ②


Здравствуйте,Товарищ!


こんにちは、ちゅうさまです。

前回「共産車探訪とぶらり自動車博物館を交互に書く」ようなことを言っていましたが、早速崩れてしまいました。よく考えたら、自動車博物館の数の方が共産車の数より圧倒的に少ないんですよね。新企画で車のイベントのレポートでも始めようかなあ。


さて、前回はソビエト・ウクライナのZAZが生み出した国民車「ザポロージェツ」の初代を見ましたね。フィアットのパクリ 可愛らしいルックスと実用性でそこそこの人気車となったザポロージェツですが、1966年に2代目の生産が開始されます。


965Aは悪い車ではなかったんですが、ちょっと小さすぎるのが難点でもありました。特に後部座席など、フィアット600より狭いわけですから、子供はともかく大人が乗るには明らかにサイズが足りません。ロシア人はデカいしね(偏見)。


そこで、1966年に居住スペースの拡大装備の近代化を図り、デザインを一新して ”966型” がデビューします。トップギアでも紹介された例の「ドアが閉まらない車」です。


Type 966

1966-72 ZAZ Zaporozhets [2nd 966] (リーガ自動車博物館バウスカ支部にて)


こちらが966型。

「1966966が登場」って覚えやすいですね。覚えてもいいことはないけど…。

なお、965Aの生産は1969年まで続くので、それまでは965Aと966が併売されていたことになります。966は値段が2,200ルーブルと上がってしまったので、安価な965Aにも需要があったのでしょう。


エンジンをリアに搭載したRRの駆動機構やベースとなるプラットフォームは変わりませんが、デザインはノッチバックのサルーン風へと大きく変貌を遂げました。


2代目の前期型となる966の外見上の特徴は、縦格子の大きなフロントグリルです。デザインをぶち壊すレベルでデカいです。最近のトヨタ車かな?

とはいえ空冷RRなので、グリルの裏には小さなホーングリルが空いているだけ。フロントグリルはただの飾りです。

これは後述の968型とも共通しますが、リアサイドにある耳のような大きな吸気口も特徴です。


1966-72 ZAZ Zaporozhets [2nd 966] (リーガ自動車博物館にて)


内燃機関には、965Aのものを改良した1,197cc空冷V4エンジンが搭載されました。V4エンジンはまだまだ使われます。

っかくエンジンスペースも拡大したのにほとんど同じエンジンじゃ勿体無い気もしますが、「空冷だから寒い日でもすぐに始動できる」ということで好評だったので、あえて変更する必要もなかったのでしょう。


2ドアRRということでソ連版911とかソ連版ビートルとか呼ばれそうなもんですが、ついたあだ名はなぜか「メルセデス・キラー」。理由はよくわかりませんが、こんなの ソビエトの小型車がメルセデスを圧倒するとは思えないので、たぶん皮肉でしょう。



…え? そんなことはいいから今度は何のパクリなのか教えろって?


【参考】1965-74 Hillman Super Imp

【参考】1963 Chevrolet Corvair


今回のモデルチェンジは、時代の流行や消費者のニーズに応じて「なるべくしてなった」要素も強いので、一概にパクリと決め付けるのもちょっと可哀想なんですが……。

強いて挙げるなら、ヒルマン・インプシボレー・コルベアーがデザインの参考になっていると言えるでしょう。いずれの車もRRと居住性の両方を追求した結果のデザインなので、966だってきっと…(僅かな希望)。


ていうかこのコルベアーのキャンパー角すげえ…。



Type 968


1971-73 ZAZ Zaporozhets [2nd 968] (ヴォルゴグラードにて)


1971年には、966の生産は終了し、「968型」へとアップデートされます。


今回のマイナーチェンジでの変更点は、外観・ブレーキ・エンジンです。

基本デザインは966のままですが、一番の変更点として、偽のフロントグリルがなくなりました。まあ何の意味もなかったし、グリルがデカすぎてデザインぶち壊してたし仕方ないね。

グリルの代わりに、金属製のオーナメントが装着されました。


よりヒルマンインプに近くなった気がしますが、気にしてはいけない(戒め)。


エンジンも一応アップデートはされ、出力が若干上がっていますが、実は晩年の966にも既に搭載されていました。

また、966ではドラム式だったフロントブレーキが、ディスク式に変更となりました。

1971-73 ZAZ Zaporozhets [2nd 968] (ソチ自動車博物館にて)


リアビューです。丸テールが可愛らしいですね。

これといって特筆することはないんですが、リアエンジンのため、ナンバーの左右とエンジンフード上部に廃熱用のスリットが空いているのと、バンパー下にクランク棒を挿す穴があるのが見て取れます。


ちなみに、テールランプの横にあるバックランプは、966時代にはありませんでした。


1974-79 ZAZ Zaporozhets [2nd 968A] (ヴォルゴグラードにて)


1974年にはさらにマイナーチェンジが行われ、968Аへと進化。

なにが違うかって? 外見上は基本的にまったく同じなんですが、フロントにプラスチック製のダッシュボードが追加されました。


は? ってお思いのあなた!さっきの黄色い968の写真とハンドル付近をよく見比べてみてください。

そう!インパネ周りの膨らみが正面からも見えるようになったんです!

だからなんだよ!って感じですが、ダッシュボードの追加によって衝突時の安全性が若干高まりました。


外観上の識別点はそのくらいですが、他にも安全装備の充実が図られたようです(安全とはいってない)。



Type 968M

1974-94 ZAZ Zaporozhets [2nd 968M] (ソチ自動車博物館にて)


1974には2度目のビッグマイナーチェンジが図られ、968Мへと進化します。

生産期間が長く生産台数も多いので、「ザポロージェツ」というとパッと思い浮かぶのはこの型かもしれません。


外観は大きく変化しました。

まずは、バンパーやフロントのオーナメント、ライト周りのフレーム、窓枠などが全てプラスチック製になりました。金属資源に乏しいソ連では、この時期からプラスチックを多用するようになりますが、なんとも安っぽくなったもんで…。

また、966・968の特徴であったサイドの大きな吸気口はなくなり、こちらもプラスチックのルーバー状の吸気口に変更されました。

1974-94 ZAZ Zaporozhets [2nd 968M] (モスクワ交通博物館にて)


リアビューです。見切れてて申し訳ナス。

968Мのテールランプは、無機質な四角形のものになってしまいました。966・968の丸型テールは可愛かったので残念といえば残念ですが、この無骨さが共産車らしいともいえますね。


エンジンも若干の改良がされ、排気量は1,197ccのままでしたが、出力が50hpにアップしました。モデル末期には1,300ccエンジンを搭載する計画もあったようですが、頓挫してしまいました。


1974-94 ZAZ Zaporozhets [2nd 968MD] (ソチ自動車博物館にて)


さて!ザポロージェツといえば「バリエーションの豊富さ」ですね?

2代目ザポロージェツにも様々なバリエーションが用意されました。


・両脚が不自由な人向けモデル「968Б, АБ, МБ (ラテン文字ならB)」

前回の965にも同じ仕様がありましたが、両手だけで運転できるような装備が施されています。


・右脚が不自由な人向けモデル「968Б2, АБ2, МД (ラテン文字ならB2D)」

右脚のみ使えない人向けのモデル。アクセル・ブレーキは手動です。


・左脚が不自由な人向けモデル「968АБ4, МГ (ラテン文字ならAB4G)」

こちらは逆で、クラッチのみ手動のモデル。968Aの時代に追加されました。


・左手左脚が不自由な人向けモデル「968Р, МР (ラテン文字ならR)」

ハンドルは片手で回せるようレバーがついており、クラッチは手動です。需要がなかったのか968Aへのアップデートの際にラインナップから消えましたが、968Mで復活しました。


これらの特別仕様車は、外見上は一般仕様と全く同じです。なので、運転席を覗きこまないと基本的には区別はつきません。私も車の窓に車椅子のマークが付いてなかったら気づかなかったかも知れません。


2代目ザポロージェツの生産は、ソ連が崩壊した後も1994年まで続けられました。それだけウクライナをはじめとしたソ連各地で人々に愛され、根強い需要があったということでしょう。


実はこの車、映画の「カーズ2」にも登場しています。


上記の記事を読んでいただいた方ならもうお分かりかとは思いますが、レモンファミリーのウラジーミル・トランコフペトロフ・トランコフのベースはザポロージェツですね。ウクライナ車なのにロシア代表ということになってますが…。

子供向けのアメリカ映画にソ連車が登場するなんて嬉しい限りです。アメリカでも「ソ連車といえばザポロージェツ」みたいな認識があるのでしょうか。ジグリやニーヴァ、モスクビッチと並んで「ソ連車四天王」と呼んでも過言ではないかもしれませんね。


このミニカー欲しいんだけど、たっかいんだよなあ…。


2017/10/25 ちゅうさま


【Gallery】

1966-72 ZAZ Zaporozhets [2nd 966] (モスクワ交通博物館にて)

大きな偽グリルが特徴の966。リーガ自動車博物館にはこのグリルを無理やりサイドグリルに流用するという地獄のような改造が施されたBMW・326が展示されている……!



1971-73 ZAZ Zaporozhets [2nd 968] (ソチ自動車博物館にて)

966・968・968Mの中では968が一番可愛らしいと思う。可愛いは正義。



1974-94 ZAZ Zaporozhets [2nd 968M] (モスクワ交通博物館にて)

ロシアのラジオ局「Серебряный Дождь (シルバーレイン)」の宣伝車両。全身をミラータイルで覆われており、轢かれたらとても痛そう。某ゲームとは関係ない。


1974-94 ZAZ Zaporozhets [2nd 968MP] (モスクワ交通博物館にて)

今回のサムネに使ったこの車、よく見るとピックアップです。ただし一般向けではなく、工場内での輸送用に使われたらしい。いくらソ連とはいえ、一般向けに比べると内装張りがあまりにもお粗末。


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