【共産車探訪 vol.15】 ZAZ ザポロージェツ①

Здравствуйте,Товарищ!


どうも、インスタにハマりかけているちゅうさまです。

だって伸びるんだもん…。


まずはお知らせです。「お前のブログは車のメーカーやら年代やらがバラバラでわからん」というご意見を頂いたので、共産車探訪の目次を作ってみました。車名がリンクになっているので、どうぞご利用ください。


さて、今までの共産車探訪で紹介してきたソ連のクルマは、ソ連はソ連でも ”ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国(РСФСР)” のクルマでした。でも、もちろんロシア以外のソビエト共和国でも自動車の生産は行われていました。

ではロシアの次に工業化が進んでいた共和国は? そう、ウクライナ

今回は、ソビエトウクライナの自動車メーカー、”ZAZ” のお話です。

まず、ZAZというメーカーについて簡単に説明を。

ZAZは、1923年にウクライナザポリージャに設立された、ソ連の国営自動車メーカーです。当初は農作業用のトラクターを中心に製造していましたが、1960年代になり、自動車が民衆にとっても一般的な存在となってくると、一般庶民の自家用車として、小型車の製造も開始します。それが、今回のテーマであるザポロージェツです。


”ZAZ” という社名は例によって略語です。キリル文字だと ”ЗАЗ” となり、”Запорізький Автомобілебудівельний Завод (ザポリージャ自動車工場)” の頭文字を取ったものです。アフトモビーリェブディヴェリニー…ウクライナ語はよくわからん(思考放棄)。

なお、上の写真はZAZのエンブレムですが、今回ご紹介する車のものではなく、次回にご紹介する「ザポロージェツ(968)」のものです。


では、次に車名である ”ザポロージェツ” について説明しましょう。

「ザポロージェツ」とは、ウクライナコサックの一派の名前で、ウクライナ人の象徴として親しまれています。それがそのまま地名となり、ザポロージェという町が生まれ、そこにZAZの工場が建てられたわけです。

つまり、「ザポロージェツ」という車名には、生産地の地名と、ウクライナの象徴であるコサックという2つの意味が込められているんですね。


なお、車名の発音については、ウクライナ語では ”Запорожець (ザポロージェチ)” 、ロシア語では ”Запорожец (ザパロージェツ)” と若干異なるんですが、今回はラテン文字に転写表記した際の ”Zaporozhets” の発音に最も近そうな「ザポロージェツ」ということにしておきます。


さあ、前置きが長くなりましたが、さっそくザポロージェツについてみていきましょう。

1960-62 ZAZ Zaporozhets [1st 965] (リーガ自動車博物館バウスカ支部にて) 1962年式


冒頭でもちょっと触れましたが、ザポロージェツは「一般庶民向けの小型車」つまり「国民車」として、1960年に生産が開始されました。車格はAセグメントにあたるので、ソ連の自動車階級ではジグリの下に位置することになります。

初期モデルのコードは、”ZAZ-965” でした。


主な特徴としては、RRのエンジンレイアウト後ろヒンジのスーサイドドア可愛らしい丸っこいフォルム……。


あれ……?そんな車どっかで見たぞ…?

【参考】1959 Fiat 600


フィアット600の丸パクリやんけ!!!!!


また共産車特有のパクリかこわれるなあ…。


1960-62 ZAZ Zaporozhets [1st 965] (リーガ自動車博物館にて) 1962年式


ただ、エンジンに関してはMeMZ製のオリジナルのものが搭載されていました。

初期型の965型に積まれていたのは、746ccの空冷V型4気筒エンジン。最高出力は23hpです。デザインはフィアットから、エンジンのシステムはVWからそれぞれいいとこどりをしてきた感じですね。

V4とは謎すぎるエンジンですが、2代目ザポロージェツになってもV4エンジンはそのまま、1994年まで長々と生産されるのでした


まあ、当初の予定ではバイク用の17.5hpの2サイクルエンジンが搭載されることになっていたので、それに比べれば遥かにマシと言えるでしょう。ソ連版トラバントってのも悪くはないけど…。


1963-69 ZAZ Zaporozhets [1st 965A] (ソチ自動車博物館にて) 年式不詳


1963年には、エンジンが887ccにアップデートされ、コードが ”965А” になりました。最高出力は27hpです。

エンジンマウントも若干見直され、少し高い位置に変更されました。そうすると重心が上がるので、結果として若干乗り心地が改善されたようです。一方ハンドリングは……。


外見上の違いは特にありません。(965の写真でフロントについている黒いものは後付けのカバーです)

1963-69 ZAZ Zaporozhets [1st 965A] (ソチ自動車博物館にて) 年式不詳


リアビューです。

リアもどことなくフィアット600に似ていますが、ザポロージェツの方が尻は長い気がしますね。ただ全長は10cmほどしか変わらないので(ザポロージェツ:3,300mm、600:3,215mm)、居住スペースはフィアット600より狭そうです。


リアサイドに付いているスリットは、エンジンの吸気口に繋がっています。


気になるお値段は、1,800ルーブル。これは当時のソ連の平均賃金の約1/20で、現在の日本円に換算すると約66万円となります。

お買い得価格に加えて、空冷エンジンなのでロシアのような極寒の地でもエンジンスタートがスムーズということでザポロージェツは人気を博し、1969年の生産終了までに、965/965А合わせて32万2166台が生産されました。


実は1966年に2代目のザポロージェツ(966型・次回扱います)が生産開始されているんですが、965А型も並行販売されていました。


1963-69 ZAZ Zaporozhets [1st 965A] (ソチ自動車博物館にて) 1967年式


さて、ザポロージェツもソ連車のご多分に漏れず、様々なバリエーションが追加されました。


・ヨーロッパ輸出向けモデル「965Э, 965АЭ (ラテン文字ならE, AE)」

フィンランドのディーラーを通じて「ヤルタ」という名前でヨーロッパ方面への輸出も行われました。先述の空冷エンジンがヨーロッパの豪雪地帯でもウケたようです。今までに貼った写真を見ていただければ分かる通り、本国仕様のザポロージェツはサイドミラーがないので、Э/АЭではミラーが追加されています。ほかにも防音設備の強化や灰皿の設置、バンパー形状の変更などがされていました。


・郵便局向けフルゴネット「965С, 965АС (ラテン文字ならS, AS)」

郵便局の配達車として作られた、パネルバン仕様。リアサイドの窓が鉄板で埋められ、吸気口の形状も大きめのものに変更されています。


・工場向けピックアップ「965П, 965АП (ラテン文字ならP, AP)」

工場内での輸送などに使用されたピックアップ。ただ、コードは正式なものではなく、単にノーマルの965の屋根をぶった切っただけだとの説もあります。


・脚が不自由な人向けモデル「965Б, 965АБ (ラテン文字ならB, AB)」

実は、ザポロージェツは障害者向けの特別仕様の多さでも有名。Б, АБは、「手は健常だが、両脚に障害を負っている人向け」の仕様です。下の画像が解説図なんですが、ハンドルの両側にアクセルレバー⑤と、クラッチレバー①が。シフトレバーの横にブレーキレバー③が設置されていて、すべて手で制御できるようになっています。しかしブレーキレバーの位置はそれで大丈夫なのか…?

引用元:Отечественный Автопром ЗАЗ-965Б "Запорожец"


・片腕と片脚が不自由な人向けモデル「965Р, 965АР (ラテン文字ならR, AR)」

こちらは、腕と脚が片方ずつ不自由な人向け。解説図が見つからなかったので詳細は分かりませんが、同じ仕様の2代目ザポロージェツの解説図を見ると、ハンドルを片手で回すためのレバーなどが装備されています。



実は私が「共産車っておもしろいな」と思ったきっかけは、このザポロージェツの福祉仕様車なんです。ソ連車って「生産コストをいかに下げるか」とか「ボロくても誰も改善しようとしない」みたいな冷淡なイメージがあるじゃないですか。

でも、社会主義国であるソ連には目指すべき理想として「平等」とか「社会福祉の充実」というものがあります(実態はともかくとして)。なので「国民車」としてザポロージェツを世に出した以上、障害を負った国民(ソ連の場合は特に退役軍人)でも運転できるように何らかの処置や解決策をほどこすのは、本来的には当たり前のことではあります。

生産効率の問題もあって、それは実現が簡単なものではありません。事実、かつて「日本型社会主義」なんて呼ばれた日本でも、福祉車両が一般に認知されるようになったのなんてここ最近の話です。そこをZAZは1960年代からキチンとやっているんですね。

ところが、ZAZが採ったその解決策というのが、ノーマル車に後付けでアフターパーツを付けるとか改造するとかではなく、「不自由な身体パーツごとに生産ラインの段階から作り分ける」という方法なんです。

なんというか、対応が実に不器用でカワイイじゃないですか。それを国営企業が国家プロジェクトとしてやっているんですよ。いいことをキチンとやっているはずなのに、蓋を開けてみればイビツなものが出来上がっている……なんででしょうね?とても不思議ですが、それって生々しいまでに人間味があるような気もします。

工業製品のクセに人間臭い…共産車って面白いでしょ?



さて、前置きのみならず後書き(?)も長くなってしまったので今回はここまで。次回は2代目ザポロージェツ(966型・968型・968M型)についてみていきましょう。


ちゅうさま


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